TUGUMI

 試験監督のアルバイト中、一気に読んだ。もう二度と帰ってこない彼女たちの「夏」の描写が印象的だった。心がいっぱいになる景色や季節の訪れや空気や風やにおいを感じたときに、彼女のようにもっと、もっと文章の表現力があればずっととっておくことができるのに。後で鮮やかに思い出すことができるのに。とうらやましいようなかきたてられるような気持ちになったら試験が終了していた。

TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)

TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)